素焼き鉢のクヌギ
4年前、義父から頂いた沢山の鉢の中に直径21cmの素焼き鉢で栽培していたクヌギがありました。
流石に狭い庭でクヌギの地植えは躊躇してしまいクヌギを鉢のまま栽培していましたが、気が付いたら枯れ枝だけになっていました。
枝だけになった鉢のまま放置していると、何らかの植物が生えていることは分かっていましたがそれでも気に留めず放置し続け、
去年やっとこの鉢の中で毎年同じ草花が育ち面白い世界を作っていると気付き、今年はその記録を収めることができたので紹介します。
素焼き鉢の特徴ある葉とスミレ
片鱗を見せたのはこの特徴ある形の葉を持つ植物。
この葉の形から雑草ではないだろうと思っていましたが、何の植物かさっぱり見当が付いていませんでした。
3月になると特徴ある形の葉も少し生長し、スミレの紫色の花が目を引きます。
義父から頂いた沢山の鉢の中にスミレの種が混入していたのか、庭でも自然に繁殖するようになり
いつしかこの素焼き鉢でも毎年、鉢の中で紫の花を咲かせたスミレが見られるようになりました。
この素焼き鉢で見られる素朴なスミレの姿が好きで、このスミレが素焼き鉢の世界を知るきっかけになったのです。
素焼き鉢の雑草
苔を覆うようにアカカタバミが繁殖し、葉の形が可愛く白い花を咲かせた雑草も今年の3月にやっとタネツケバナと名前が判明し、
繁殖力が強くて困ると言ったお話を聞いた通り、鉢の中で繁殖を繰り替えしています。
スミレの花はかろうじてまだ咲き、右側の特徴ある形の葉の前にまた何か分からない植物が葉を広げ始めました。
ちょっと気になるのが鉢の中で石と間違えそうな実が数粒転がっています。
素焼き鉢のチドリソウとヤマノイモ(自然薯)
5月になると特徴ある形の葉は随分と生長し蕾もでき、もうすぐ開花しそうです。
開花すれば、花からこの植物の名前が分かりそうな気がし待つこと・・・。
特徴ある形の葉に紫色の花が咲いてやっと名前が判明したチドリソウです。
1本だけ上にまっすぐ生え柔らかそうな細い葉と花穂状に咲いた紫の花が凛として見えます。
チドリソウと判明した頃、枯れたクヌギの枝に巻き付き始めたのがヤマノイモの葉で別名自然薯です。
3月に鉢の中で転がっていた石と間違えそうな実は自然薯の実、ムカゴだったのです。
毎年、転がった実から芽を出しツルを伸ばし葉を茂らせていました。
この素焼きの鉢でチドリソウと伸び始めた自然薯のツルを使って、まるで生け花でも生けたような姿に関心していました。
素焼き鉢のユリとムカゴ
チドリソウと自然薯の間に生えている植物は黒い実がなってやっと気付いたユリの苗で、
黒い実は栄養繁殖器官の1つの脇芽が養分を蓄え肥大化したユリのムカゴ(零余子)です。
ユリも義父から頂いて我が家の庭に植えてあり、そのユリに出来るムカゴを知ったのでユリと気付くことが出来たのですが、
ユリの長い茎に付いた葉の根元にそれぞれムカゴを付けるので、鉢のような頂点に付いたムカゴでは気付くことが遅れました。
(正直、ユリの黒いムカゴのなり方、付き方が苦手です。)
素焼き鉢のチドリソウとループを作ったツル
自然薯のツルも随分と伸び、ループを作ってチドリソウに引っかけ再び枝に巻き付いています。
自然が作った寄せ植え?アレンジメント?と思えるような1つの作品になっています。
素焼き鉢の自然薯の茂った葉
チドリソウが終わりユリの葉が見えないほど茂った自然薯の葉は、自然に枯れ枝に何重にも巻き付いています。
そして、よく見ると小さいですが自然薯のムカゴが出来ています。
ムカゴとは地上の葉の部分に出来る球芽(むかぶ)と呼ばれる実のことです。
これ以上、ムカゴのことを書くとムカゴを食べる話題で素焼き鉢の世界が終わりそうなので、ムカゴの話は出来たらまた別の機会にでも。
自然薯の葉は冬には消え素焼き鉢の地表は苔とクヌギの枯れ枝だけに戻ります。
これから何年も素焼き鉢に人の手を加えず自然に任せていたら、素焼き鉢の世界はどのようになっているのでしょうか?